2015年12月31日木曜日

久々の更新。

前の記事から実に半年以上も間が空くというていたらく。

この間、職場では大幅な体制変更やら、それに伴う人生初の引越しやらで、ぶっちゃけ釣りどころじゃなかった。

まあ、単にその絡みで節約していたのと、この夏はちょっと暑すぎた。



住んでいた賃貸マンションの老朽化が進んで、フローリングは抜けるわ、雨漏りで土壁は崩れるわ、ベランダの柵は錆び落ちるわで、もはや限界なところに、体制変更というきっかけがあったので、この際いっちょやるか、と重い腰を上げることに。


まあ二年参りで引いたおみくじにも「引越しは早いほうがよい」と思い切り書かれてたし。



それからは帰宅後や土日休みを利用して、ひたすら物件探しと掃除、そして家財整理の日々。

賃貸マンションとはいえ、自分が生まれてすぐ引っ越してきた家なので、親兄弟のものも含めた数十年分のアレコレがわんさか出てきて、モノによってはこちらが精神に大きなダメージを受けたり。

今回廃棄予定の本やグッズ類を業者に回したりしたけれど、たいした額にはならなかった。

途中、紛失していた年金手帳や重要な書類が出てきたことのほうが、むしろ有難かったというね。
 
むかし「大掃除の代わりに引越し」という人の話を聞いたことがあったけど、なるほどこういうことなんだなぁと。


不動産屋や銀行との契約をすませ、引越し日時を決めてしまえば、あとはベルトコンベアに乗ったようなもので、呆れるほどスムーズに事が進んだ。

そして11月はじめ、住みなれた六甲山中から、播磨灘に面した海辺の街へ。

明石海峡大橋の向こうから昇る朝日と、瀬戸内の島影に沈む夕日を見られる場所に引っ越したのはいいけれど、なにしろ前の家からは海抜にして300mほど低い場所で、さらに海のそばなので、もしかしたら夏場は夜寝られないほどの灼熱地獄なんじゃないかと、今から心配している。

2015年5月1日金曜日

アルピナUⅢが届いたので


実は無事だったポンドスケーターの代替艇として発注していたブツが届いた。


これは2015年モデルらしい。


こっちは旧型の アルピナUⅡ


こちらが今回買った アルピナUⅢ

カラーリングのラインナップと、縫合部分の補強が若干違う。


まあ「空気は日射で膨張するので満タンにしないで」と断りを入れているのに、フローター本体が熱を帯びやすい黒ってのはないわなぁ…。


そして、ジョイクラフトやアキレスの同型はいずれも二気室だけど、リバレイは潔く一気室のみで、最近流行のキールもオールもついていない。

他メーカーの同じU型のインプレを見ていると、ハズレを引くと中の隔壁が圧力ですぐ破れて繋がってしまう、なんて話があったり。

まあ最高級ブランドのゼファーボートですら、品質のばらつきや初期不良の多さ、さらには対応のテキトーさが何度も話題になっているからねぇ…。

とりあえず安全性ならマクラもエアクッションもあるし、そもそもライジャケ着てるし。

大体メーカー自身が「危険な遊び」と断りを入れるようなことを、我々はやっているわけでね。

H型やV型の大きいやつだと、キールやオールは非常に有効になるらしいけど、ことこの型に限れば、重量が増して畳みにくくなる割りに、あまり効用が感じられない、なんて話も。

ちなみに重量はカタログ値だと6.5kgで、体感ではポンドスケーターとあんまり変わらない。


収納用のバッグがついてないのには参ったけど、他メーカーでも今は別売りが主流みたいだし、畳んだときの嵩張り具合を考えると、あんまり意味ないのかも、とも思った。

まあ裏磐梯とかどこかに遠征する機会が仮にあったとして、うちならポンスケ抱えていけばいいし、そもそも宿に送りつけちゃえばいいわけだし。


それから、ここに触れているサイトが見つからなかったので、いずれ誰かの役に立てば。

こちらがポンドスケーターのバルブ
こっちはアルピナUⅢのバルブ
この二種のバルブ、中央の部分を捻ると弁が開いたままになるという構造は似てるけど、双方に付属のフットポンプは残念ながら併用できない。

抽気時に中で回し引っ掛けるのは同じでも、接続部の長さや太さ、構造が違う
ポンドスケーターのフットポンプに関しては、本体と運命をともにしそうな感じだけど、アルピナUⅢのポンプは、他メーカーの同型に付属しているポンプと全く同じなので、おそらく流用は可能。


付属のサイドバッグの取り付け位置については、他でもさんざん「どうなのよ」と書かれていた通りで、上の写真のようにするとキャスト時に邪魔だし、さりとて外側にぶら下げて使うと水に浸かる。

一応生地自体は裏にPVCの加工がしてあるんだけど、縫製部分まで防水してあるようには見えないので、結局縫い目から浸水しちゃうんじゃなかろうかと。

中央部のDリングと、マクラの下のDリングをまたぐようにすれば…と思ったけど、長さが足りないので、不満な場合は何らかの工夫が必要かも。


エアクッション(座布団ですな)は、厚みに関しては以前自作したハイポジシートとそれほど変わらないけど、実際に水の上で使ってみてどうかはこれから。


エプロンのくぼみ加工に関しては、一時的に何かを置くにしても正直浅すぎて、波で揺れた程度でも落としそうだなと。

うちの場合は、フライラインの絡み防止用に、ネコ除けマットでも置いたりすればいいのかも。

エプロンにスケールがついていないので、OFTのスケールシールをとりあえずフロントバーに貼り付けてみた。

早速GW中に実釣してみて、その他の気付いた点は追記しようと思う。

2015年4月30日木曜日

GW淡路釣行その1

勘違いで新しいのを発注してしまったとはいえ、ポンスケさんが現役なのがわかったので、気持ちをさっさと切り替えて(←それでいいのか)、GW初っ端の休みに出撃…のはずが、前日がハードだったので10時前まで全力で眠る。


現着はすっかりお天道様も登った11時。

去年、一昨年と肌寒いGWが続いたが、今年は一気に夏日が続く陽気。

デカバス狙いだと、今の時期はアフターで難しいんだろうけど、こちとら別に小バスだろうが楽しんでしまうので。

…まあ、でかいのが釣りたくないのかと言われたら、そりゃ釣りたいけど。


今回も未調査池を巡るつもりだが、とにかくどこも細くてややこしい道ばかり通るので、Nexus7を常時立ち上げて、空撮写真やストリートビューで現在地を確認しながらとなった。

ただ、空撮が本当にアテになるかと言われるとこれまた微妙で、道の細さや斜度なんかは、実際に現地に行かないとわからない。

実際、今回の釣行でも、軽トラ一台がやっと通れるようなコンクリ舗装の道で、わずかなハンドル操作のミスで、あっさり崖下に転げ落ちそうな場所や、何度も切り返さないと曲がれないような細い農道を前に、調査を諦めた池があった。


最初の池は未舗装のつづら折りを下るヘビーな場所で、水質は美味しい感じながら、どうにも生命感が感じられなくてパス。

次の池は細い道の奥の奥にある集落の中で、哨戒する小バスの群れは確認できたものの、そばに駐車場所がなかったのでパス。

さらに次の池は、近年相次いだ台風直撃の影響なのか、樋門や落水口を改修した形跡があるので、これまたパス。

次は「険道」を延々と走らないと辿りつけない僻地中の僻地。

途中、標識のない三叉路や、落ち葉の積もった土壁の切通し、行き違い不能な場所での対向車に翻弄されながら、なんとか辿りつく。

今年も藤の花が咲いていた
2台分くらい止められそうな広い場所を路肩に見つけて車を止め、いそいそとフローターの準備。

メマトイや小型のサシガメの類がぶんぶんと鬱陶しいので、虫除けを全身にぶっかける。

一応、あれからまた一昼夜放置して、もう空気漏れしないことは十二分に確認してあるとはいえ、前回の沈騒動がまだ引っかかっているので、ひやひやしながら堰堤から出艇。


前回同様ここもまたかなり山の上にある池だが、もはや正午近いこともあってか、水温自体は気持ち暖かく感じる。


反時計回りに岸際を撃っていくと、ものの20mも進まないうちに、崖下のわずかなアシ際でヒット。

今期お初。
その後も25cmを筆頭に、ぽこぽこと釣れ続く。

本日最大
寄生虫なのかケガなのか、肉腫のある子
一匹釣れると同じ場所で連続して同サイズが釣れる

そのうち沖目に放置したり、捩れたラインを伸ばしたりしているだけでも釣れはじめる。

数匹単位の小バスの群れが、そこらじゅうをくまなく偵察しているっぽい。

ただ、少しでも風が吹いたり、雲間から日が差したりすると、すぐに沈黙する。


期待した途中のワンドは不発で、対岸の耕作放棄地の岸際を撃っていくが、ここでも木の下よりもアシと絡んだ場所でのヒットが続く。

対岸側では、なぜか下あごフッキングが増えた
でも基本的に釣れるサイズは変わらない
一般的に、バスは20cm台後半(だいたい二歳魚)で成熟すると聞くので、一応はスポーンに絡んでいないか見てみたり。

少なくともこの子は未経験、もしくはプリの状態
まあ小型の場合は、大型たちが一通り産卵行動を済ませた後に、産卵に入るらしいけども。

延々釣れ続くので、もう何匹釣ったかわからない状態に

池を一周したので一旦上陸。


後部ハッチに腰掛けて一服しながら、転進して釣りを続けるか、それともここでフローターを畳んで、後は未調査池の探索のみにするか考えるが、とりあえずケツと足首がだるい。

フライの付け替えや一服などをしていると、風に押し流されることが多く、思った以上に頑張って足ヒレを使っていたらしい。


道具一式を畳んで積み込み、Google Mapの上に記したマークを睨みながら、さてどちらへ向かうかと考えていると、堰堤上の道に白い軽ワゴンが止まって、中から若い衆がわらわら出てきた。

ああ、おもいっきり通行の邪魔な位置に平然と止めてるわ…こらあかん。

スピニングロッドをめいめい担ぎ、いかにも先行者丸出しのこちらの様子を伺いながら、あれこれと相談を始めたので、とりあえず通りすがりに軽く会釈しつつ離脱。

自分がどいた場所に止めなおしてくれることを祈りながら、薄暗い「険道」を木立を縫うように、海沿いの国道へと下った。

2015年4月27日月曜日

復活のポンドスケーター

前回危うく沈しかけた、うちのポンスケさん。

うらがえし。
実際に見る見る空気が抜けてしぼんでいくのを見ているのに、それでもどうしても納得ができなかったので、帰宅してから改めて空気を入れなおしてみた。

空気をパンパンに入れたところでフイゴを踏むのをやめると、プシューと空気の抜ける音が。

「あー、やっぱりどっかで漏れてる…ん?」

どうも、バルブのあたりから音がする。




ポンドスケーターのバルブは、中央の*型の突起を回すと弁が開放されて、空気を一気に抜くことができる。

ウェーダーなんかもそうだけど、きちんと畳むと折り目などに負担がかかって逆に痛みやすいので、普段は6~7割程度は空気を残しておくので、この弁の機能を使うことはない。

ただ、今年は徹底的に不具合を調べた時に、この突起をねじった記憶が。



「まさか、いや、そんなアホな、あははは…」



念のため、突起をねじって弁が作動していることを確認して、空気を入れなおす。



・・・ピンポンピンポン大ピンポン。



先ほどの空気の抜ける音はしなくなり、チューブの上に乗ろうがなんともない。


つまり、耐用年数による劣化ではなく、単なる勘違い。


そして何より、既にアルピナUⅢを発注しているという事実。


『言葉にできない』の「ら~ら~ら、らら~らぁ~♪」のフレーズが頭の中をぐるんぐるん。


ほんまにどうしよう。

2015年4月19日日曜日

初出撃、そして今年もまた…

春の長雨と低温に祟られて、しばらくは「釣りに行こうか」という気も起きなかったけど、このところの温かい雨や、晴れた日の気温を見れば、ぼつぼつ重い腰も浮つきだすというもの。

時期としてはスポーン絡みで難しいけれど、山間部や標高の高いところなら、まだプリがほとんどだろうという浅はかな読み。

さすがにトップは厳しいでしょ、ということで、スピナベやクランク、ワームなんかも用意。

てか、ルアー自体もう何年投げてないのかわからない。


今回は、しばらく前から気にはなっていたものの、普段通うルートから大きく外れていることもあって、調査がまだ済んでいなかった池に向かうことに。

…まあ未調査の池なら、もし釣れなくても自分への言い訳も立つし。


集落から外れた細い道のそばながら、釣り禁止の看板も柵もない。

深い谷筋の先にあって、昔ながらの土の堰堤で、完全水抜きは不可能そうな構造。

そこらの枝には釣り糸もからんでいるし、エントリー場所にはしっかり踏みしめられた跡が。

水中を覗くと、キンギョモの芽と、魚種はわからないながら、小さな魚影がちらほら。

まあかつての有名ポイント(現在は釣り禁止)の近くだし、バスが入っていないのは不自然だ。

今日はともかく、盛期は期待していいかも。


板チョコ護岸からではなく、浅場からのエントリーになるので、足もとを気にしつつ今年の初浮き。

手をつけると水は冷たいが、凍えるほどではない。

気温はもう汗ばむくらいになっていた。


小場所なので最初はルアーで様子見、水温と活性が上がればフライ、反応なければ転進。


エントリーポイントそばのゴミ溜まりからは、時々プチュプチュと何かが蠢く気配が伺えたのだが、手繰るスピナベへの反応はなし。

どうせなら、とベビートーピードに付け替え、キャスト練習よろしく岸際やストラクチャーに投げていく。

…が、距離が足りなかったり、精度が悪かったり。


まあベビトーは元々ルアー自体が軽いので、手加減が難しいのはあるにせよ、本格的にリハビリ、もとい特訓が必要かもしれない。


やがて間もなく池の最奥部のインレットに来たので、冠水植物周りを狙ってキャスト。

…当然の如く、ギリギリどころか冠水植物そのものへ全力で引っ掛ける。


「ポイントが潰れました…。」(Dr.カシ○ギ風)


おとなしくセンコーのノーシンカーでも投げればよかった。


何年前から巻きっぱなしかわからない10lbラインで、強引に引き抜けるわけもなく。

足の着きそうなシャローにフローターを寄せて、えいやっと冠水植物ごと回収。


まだ寒そうな日陰をスルーして、対岸の小さなワンドを目指しつつ、土手方向に戻る。


スピナベで通すか、クランクを投げてみるか、それとも…と、次のルアーを考えていると、どうもウェーダー越しの背中が妙に冷たく感じる。

手を突っ込んでも、漏れたり濡れたりはしていないようだ。


んー?と首を捻りながら手元を見ると、いつの間にやらヘソのあたりまで水に浸かっていた。



…おかしい。

自作ハイポジシートのおかげで、いつもなら太腿の下半分までしか水には浸からないはず。



フローター本体を見ると、シート位置の真横あたりに、深いシワが。



「あかんやばい、空気抜けてる…」



少しでも速度を上げるため、体を後ろに倒そうにも、今日みたいな時に限ってサブチューブをつけていない。

フローターはどんどん張りを失い、両脇に刻まれたシワは、見る見るうちに深くなる。

フロントバーは本体にめり込み、今にもマジックテープがはがれそうだ。



土手まではせいぜい30mくらいだったが、向かい風だったこともあり、随分遠く感じた。



やがてなんとかエントリーポイントに帰着、えいやっと土手の上にフローターを投げ上げる。


まずは気を落ち着かせるために一服。


毎年初浮きの前には、必ず空気を目一杯入れて一昼夜放置することで、空気漏れがないか確認している。

今年はさらにインナーチューブの継ぎ目、バルブの根元まで念入りに確認もした。

なので、目の前で起きたことなのに納得がいかない。


が、土手にしばらく放置したフローターは、こっちの感情なんてお構いナシに、目視ではわからないくらいのゆるやかな速さで、次第にやわらかくなっていった。


「水上で全体重を預ける状況にならないと、破損がわからない場合もある」と、以前どこかのサイトで見たのを思い出した。


購入から6年目だし、そもそも廃盤直前の安売りで手に入れたものなので、普通に耐用年数を迎えたのだろう。

池の真ん中で沈することを思えば、幸運だったと諦めるしかない。


去年の初釣行ではロッドを破損、今年はフローターがご臨終…毎年何らかの犠牲を差し出さんと、わしゃ釣りしたらあかんのか?

2015年2月16日月曜日

「VOCALOID Opera 葵上 with 文楽人形」を見てきた

かなり久々のボカロネタ。

元町で上映されていると聞いて、ちょっと見てきた。

あ、万が一、検索で辿り付いた人のために予め書いておくけれど…

『気にするな、どうせたいしたことは書いていない。』


上映は13:00過ぎからなので、30分ほど前に阪急花隈に到着。

そこから元町商店街を歩いて行くつもりだったんだけど、久々に元町へ出たのもあって、「老祥紀」(南京町の店は"記")の豚まんを食べてから行くことに。


上映時間10分前に入場。

上映ラインナップを見ると、韓国映画と台湾映画にがっつり挟まれていた。

…ああ、そういうポジションなんだ、と。

館内の客席には10人ほどがいた。


いづこもおなじで、事前に近日上映作品の短い予告映像が流れるんだけど…どうもあれが苦手。

特にベタで叙情的なロードムービー風の邦画、おめーはダメだ。


本編が始まる前には、まずは人形遣いの吉田幸助氏による口上。

「面白いと思ったら拡散希望、面白くなかったら、そのまま黙っといてください」て、いやいやいや。

口上の中で元町や神戸について触れていたので、各上映館によって口上は違うのかもしれない。

そして結月ゆかりの3Dモデルによる諸注意の後、いよいよ上映開始。


本編のあらすじについては、既にあっちこっちに書かれてるから割愛。


上映後、足早に出てくる客に紛れていると、出口付近で話をする女性二人組。

「ボカロの歌声って苦手で…耳に刺さるんですよね…あ、ボカロっていうのは合成音声で…」

なんでそんな人がわざわざ見てるねん、と思ったら、次の時間から上映される台湾映画特集の時間つぶしで見ていたらしい。

話の筋が筋なので、狂気の表現として金切り声で叫ぶような歌が続いたとはいえ、ミクよりよほど人間的な、結月ゆかりや猫村いろはの声ですら苦痛なら、もはや全く許容できないんだろうなぁ、などと。

外へ出ると、劇場前には台湾映画目当ての、数十人の開場待ちの人垣が出来ていた。


以下つらつらと。


ボカロPである「ヒカル」は、話の冒頭にヘッドホンをした黒子の姿で登場するだけ。

まあ元ネタである能楽「葵上」でも、光源氏は名前だけしか出ないので、そこは同じなんだけど。

当然ながら作中、彼の口から「ミドリ」について語られることは一切ない。

まあ所謂「ボカロは楽器」として、そのキャラクター性に拒否反応を示すボカロPというのは、別段珍しくはなかったわけで。

それどころか、そういう側面を大っぴらに批判した上で離脱して、淡々と自作曲を上げるも見向きもされず、いつの間にか界隈にしれっと戻っているような人も何人かいたなぁ、とか。

けれど、最近はそういうこともすっかり聞かなくなった。

そういう意味では「ヒカル」は、比較的初期のPだったのかな、とか…。

まあそういう人が目に付かなくなったのは、界隈が最適化されたというか、今やニコニコインディーズとか音雲とかもあるし、というか。

まあ無駄に荒れても互いに消耗するし、ためにする議論なんていうのは不毛のきわみで、現にそれでyoutube板の本スレは廃れたわけだし、炎上による売名というのも昔ほど恩恵がないというか、もはやデメリットの方が大きいし、今となってはせいぜいアフィブログを含めたネットイナゴにエサを与えるだけで、いずれにせよいいことなんて何もないんだけども。

かつて何度も起こったあの軋轢が、そのまま界隈の熱量を示していたのであれば、表面的には実に穏やかな現状は良いのか悪いのか。

まあ製作者であるtamachangchanこと田廻氏の過去ツイートを遡れば、そのへんは見えてくるんだけど、表現者の発言ではなく表現そのものを見よ、ということで、それには敢えて触れない。


あと、作中にはミクの名や歌声こそ一切出ないものの、「ミドリ」のイメージは一貫して「巨大なツインテールを持つ少女の影法師」として描かれる。

脳裏に焼き付けられたような、ぼんやりとした影…頭の中でリンクするのは、かつて何度も聞いた「ミクのムーブメントは信仰に似ている」という話、そして「ミクという存在は、我々にかけられた一種の『呪い』ではないか」という話。

そもそも「ヒカル」だって、別に「ミドリ」のことを忘れたわけではないのだろう。

ユニット活動10周年ということだったから、もしかしたら当時とはOSの仕様が変わって、「ミドリ」が起動できなくなっただけなのかもしれないし。

さておき、世の人は「ミドリ」の名を口にすることはなくなり、そして「ヒカル」も「ミドリ」に自作曲を歌わせるということはなく、やがてユニット結成10周年を記念して、「ヒカル」はかつての「ミドリ」の持ち歌である『慈救咒』を「アオイ」に歌わせようとする。

「アオイ」は元々「ミドリ」の歌声に惹かれて歌い始めたので、そういう意味では『ボカロ=楽器』な「ヒカル」より「アオイ」のほうが、「ミドリ」という存在の刷り込まれ方=思い入れ=『呪い』は強いだろうし、現に「アオイ」は「ミドリ」の歌だから、と、『慈救咒』を歌うことを一度は拒んでいる。

この時点で既に「ミドリ」の『呪い』は発動していた、とも言える。

結果的に「アオイ」の中の「ミドリ」は呪詛を吐き尽くして気が済んだのか消え失せ、やがて「アオイ」は文字通り憑き物が落ちた状態で『慈救咒』を歌う。

「ミドリ」に、ただの楽器としてしか接していなかったため、『呪い』と無縁だった「ヒカル」

「ミドリ」の歌声に惹かれ、魅入られ、やがて『呪い』の発動をもって「ミドリ」と決別する「アオイ」

全てを目撃し、ラストシーンでノートPCを前に、ひとり物思いにふけるマネージャー


残念ながら作中では「ヒカル」が「アオイ」をどう見ているかまでは語られていないが、原典たる源氏物語の光源氏のその後を考えれば…いや、やめとこう。


自分はあくまで一介の聴き手、いわば再生数「1」に過ぎないんだけど、それでもムーブメントの比較的初期から一貫して見守り続けているという自負はあるので、その刷り込まれ方=『呪い』たるや、えらいことになっているのではないかと。

逆に自分が書き込んだコメントで、他人に図らずもかけてしまった『呪い』もあるのだろうなと。

言葉や文字は、それそのものが一種の呪詛である、というのは、よく知られた話で。

まあ、こうやって誰に宛てるでもない駄文を、夜中にだらだらと書きなぐっていることこそ、その刷り込み=『呪い』の結果であり、それこそ『呪い』を拡散させる行為なのだろうけれど。