2014年9月24日水曜日

四国東部遠征(2)

 二日目の朝は日の出前に出発、さっそく昨日のスロープへ。

 まだルアーマンの姿はない。

 スロープの真ん中に陣取って、昨日捏造した簡易ポッパーをキャストしていると、いきなり派手に出た。

ギンガメアジは縞模様とゼンゴが黒いのが特徴
カスミアジしか直に見た見たことがないので、初めて釣れた魚体にテンションが上がる。

 何よりこいつはちゃんとグーグー鳴いてくれたのでさらにご機嫌。

 しかし、その後は反応が途絶えたので、さらに室戸へ向けて南下。

 甲浦は道が入り組んでいて(というか、漁港のあるような街はどこもそんなもんだが)、駐車スペースにも難儀しそうだったのでパスして、一気に野根漁港まで南下。

 一番奥のスロープ際でまたポッパーを引いていると、反応はあるが食いきらない。

 このあたりで北寄りの風が強くなってきたので、荷揚げ場の岸壁際を探っていくと、何度もチェイスしてくる影が。

 やがて水柱とともに、ラインが海中に引きこまれた。
 
サイズダウンながら、またもギンガメ
こいつを掛けた際に執拗に追尾してきたもう一匹を狙ってキャストしていると、強くなった北西の風にラインが煽られて、貴重なポッパーを失う。

 「あ゛ー…」

 がっくし。

 またもやデシーバーなんかを引くも、案の定不発だったのでさらに南下し、前回最初に辿り付いた佐喜浜漁港へ。

 到着するとまさにカマス祭りの真っ最中で、大波止の内側に陣取った十数人のエサ釣り師たちが、まるで鰹の一本釣りのように、30cm級のカマスをぶり上げていた。

 その影響なのかどうかは知らないが、追って来るメッキの数が前回よりどうも少ない。

 地元のルアーマンたちと少し話してみると、カマス以外にも佐喜浜川の河口でサゴシがよく釣れているらしいが、フライで太刀打ちできる距離でもなさそう。

 ちなみにカマスは大波止のその一角、への字に曲がった内側の最奥部のみで釣れさかるだけで、ちょうど反対側の荷揚げ場に陣取った、自分のそばにいる人たちには一匹も掛からない。

 やがて、荷上げ場にいた釣り人たちが続々と大波止へ向かい、自分と撤収中の一組の老夫婦だけが残った。

 すっかり人のいなくなった荷上場を探るが、水面にはアンドンクラゲがまったり泳いでいる程度。

 大波止との間には潮目が出ていて、こちら側はどうもあまり水が良くないらしい。


 途中、なにやら黄色い平たいものが、波止際の水面近くでひらひらと。

沈むでもなく浮くでもなく、木の葉にしては何か変だ。
なんやこれ、と目を凝らして見ていると…

「・・・ツバメウオの幼魚?」

 子供の頃から図鑑や水族館などで存在は知っていたが、釣り場で目にするのは初めて。
 
 小型甲殻類を食うと聞いた記憶があるので、鼻先にクレチャを落とすも頑としてスルー。

 しばらく躍起になって狙ってみたが、やがて目視できない深さまで沈んだ。

 最初から最後まで徹底した「木の葉」の演技で、妙に感心してしまった。

 結局ここでは何も釣れなかったが、瀬戸内ではまずお目にかかれない珍魚に出会えたことで。若干テンションが上がりつつ、さらに南下することに。


 椎名漁港の北側スロープ付近は、巨大な波止との間を北風がモロに吹き抜ける上、水色も悪く反応も薄かったので、漁協の事務所棟?の裏側にあるスロープ付近へ移動。
 

  同じ港内でも、こちらは開口部に近いのもあってか水が澄んでいて、底のゴロタが丸見え。

 ついでに追って来るメッキもよく見えるが、どうも数自体は少なそう。

 それでも繰り返しキャストしていると、細長い魚の群れがフライを追ってきて、ラインが水中に。

 しかしまっっっったく手ごたえがない。

ち、ちっちゃい…タイワンカマスかな?

佐喜浜の大波止で釣れ盛っていた連中の半分くらいかな…。


 「ま、まぁカマスはカマスやし…」


 沖目では何の反応もなくなったので、今度はスロープ際にキャストすると、高速追尾する魚が。

 何度目かのキャストで食ってきたが、これまた明らかにメッキの引きじゃない。

とうとう釣れてしまった・・・

「いや、いくらグーグー鳴いても、おまいはどう見たってメッキちゃうし…てか釣れそうな状況でも何とか避けてきたのに…まあ構ってくれたのには一応、一応感謝するけども」

 などと意味不明なことをブツブツ言いながらリリースして、とりあえずさらに南下することに。

 とはいえ太陽はすっかり上に来ていて、これ以降は期待できない。

 それでも三津や高岡の漁港を覗き、漁船のロープ付近に小さなアオリイカを見つけたりしながら、いよいよ室戸岬を回り込む。

 まだ甲浦と大阪南港を結ぶフェリーがあった頃、後にゲームシナリオ作者になる熱狂的なトラキチと、阪神の安芸キャンプを見に来たことがあったが、それ以来の室戸岬になる。

 当時は明け方前に下船して直接安芸へ向かったので、外の景色は真っ暗で何も見えなかったし、帰りは間違って奈半利からの『酷道』493号に迷い込んでえらい目に遭ったので、結局まともに室戸岬の景色を見たことはなかった。

 …まぁ今回も、結局は岬の先端まで行かなかったんだけども。

 やがて室戸岬漁港に到着したものの、昨日からの疲れもあってさすがに若干ダレ気味。

 ロッドを持たずに岸壁から覗き込んでみると、またなにやら黄色いものがヒラヒラしている。

横になったりひっくり帰ったり。

 やはり木の葉の擬態のようだが、先ほどのツバメウオよりは魚らしい格好をしている。

「おお、これがマツダイか」

 マツダイはシイラ狙いのルアーに食ってくる程度には貪欲らしいので、こちらもまたクレチャやBHマラブーで狙うことに。

 あまり直近に落とすと警戒されるので、少し離してフライを落とし、目前で失速させてみると、興味を示したのか一瞬スッと見に来るが、また思い出したように木の葉の擬態状態に戻る。

 やはりこやつも手ごわい。

 やがて強風に煽られて、ラインが魚の真上に。

 「やってもた…」

 マツダイは一瞬めんどくさそうにヒレを動かしたが、それでもなお擬態をやめずに、じわじわ沖目へ去っていった。

 本来はこのあたりから戻る予定だったのだが、まだ時間的には大丈夫、というか中途半端だったので、もう少し漁港巡りを続けることにして、さらに奈半利方面へ車を進めた。

申し訳程度の観光要素。行当岬付近から室戸岬を望む

 その後も室津漁港ではコトヒキや小チヌに翻弄されたり、行当漁港で再びダツを目撃したりはしたが、結局それ以降は何の追尾もなくなり、さすがにモチベーションも完全に尽きたので、吉良川漁港の手前で折り返して、55号線を戻ることにした。

 ガソリンはこの時点でメーターの半分くらいになっていたので、すぐそこに見えたスタンドに入ると、どうも既視感が。

 かつて安芸キャンプを見に来たときも、ここで給油をしていたらしい。

 スタンドの大将は、すっかり白髪になっていた。

 当時の車とは排気量が違うんだけど、まあ距離的にそういう場所だったんだろう。


 どうせ翌日も休みなので、何も無理して戻らずに四国で宿を取って、翌日のんびり戻るという選択肢もなくはなかったが、休み明けに疲れきって仕事にならない、なんてことになると困るし、既に右肩は酷使のために筋がおかしくなっていた。

 室戸岬経由のルートを県道202号でショートカット、途中カブで峠道を爆走するノーヘルのばーちゃんというレアなものを目撃したり、東洋町の道の駅で土産物を買ったりしながら徳島県内へ。

 ちなみに東洋町の道の駅で買った「カツオ人間プリントクッキー」は、同僚たちから期待通りの反応を得られた。
カツオ人間がクッキーに直接印刷されている
正直言って「誰得」な逸品
数年前に製作者が東洋町へ移住したということで、道の駅にはクワイエットファンクのルアーや、同ブランドのグッズである時川真一のイラスト入りTシャツなんかも置いてあったけど、あの巨大なトップウォータープラグが有効なフィールドが、あのあたりにまだあるんだろうかと気になった。


とりあえず鞆の浦でリベンジをと思ったが、思いのほか風波も強いうえ、とにかくエギンガーだらけなので、さらに日和佐まで戻る。

 最初に釣りをした波止の先端は、既にチヌ師たちが陣取っていたので、小さな浜を挟んださらに沖側の、赤灯がある低い堤防へ移動。

 ふと砂浜を見ると、誰が描いたか巨大な魔方陣が・・・まあ思いきり歪んでいたし、何かが召喚できたとはとても思えなかったけど。

 移動先では何度かチェイスこそあったものの、右肩の疲労が限界を越えたのか、キャストのたびに肩甲骨の上を電流が走るようになった。

 いい加減痛めつけているとはいえ、このまま肩が上がらなくなるのはさすがに困るので、諦めて竿を畳んだ。

日和佐といえば「ウェルかめ」
帰りこそ何か海の幸を、と思いつつ、日和佐の道の駅にも寄ったりしたけれど、結局ローソンに併設されたうどんスタンドで肉うどんを掻き込んだだけで終わった。

 帰路はラジオの内容が微妙だったこともあり、Nexus7から東方ボス曲メドレーを再生しながら、かろうじてテンションを維持しつつ帰宅した。

 いずれ高知西部、足摺岬や宿毛方面へも行ってみたいが、高速をひと晩飛ばしてようやく到着する距離なので、さすがにもうちょっと綿密な計画を立てないと厳しいと思う。